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「カニのたてばい」事件

撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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最初にお断りしておきますが、本記事の内容はこれから剱岳登山をされようとしている方にとってまったく参考にはならない話です。悪しからずご了承ください。

*  *  *

剱岳登山路の中でもそのアクセスの手軽さから比較的よく歩かれている別山尾根からのルート。難路の続くルート中でもこの「カニのたてばい」は難所中の難所としてよく引き合いに出される高さ50メートルほどの岩峰で「垂直な岩の壁を、打ち込まれたクサリや杭などを手掛かりに攀じ登っていくさまがカニが這いつくばって登っていくように見えることからこう名づけられた」などと紹介されることが多いようです。

で、最初に「カニのたてばい」を下から見上げてみたときの写真が上に掲載したものなのですが、正直なところ結構斜度がついていて(70度くらい?)全然垂直にそそり立っているわけではないし、「これでもか」ってくらいに杭が打ち込まれていて足場にも問題はなさそうだし、下から上までクサリもずっとついているしで、第一印象は正直なところ「へっ?こんなもん?」といった感じでした。
実は、この「カニのたてばい」をナメきったかのような第一印象というか不遜なる思いが、そのあとのとんでもないしっぺ返しを喰らう結果へと導いていったのです。



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撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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「9番目鎖場 カニのたてばい」のプレート。このプレートのある場所から岩を少し左へ回り込んだところに最初の取り付きがあります。
ちなみに、このとき雨はほとんど止んでいましたが、相変わらず岩肌は濡れており、クサリには水玉がついたようになっていてツルツル滑りました。



撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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カニのたてばい、登り中♪」なんて暢気に撮影を...。



撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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すでに半分以上は登ってきたでしょうか。下を撮影。



撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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このクサリが終わるところで、本来なら右手の岩棚へと移り、そこをトラバースしてから少し先を斜め右へ上がっていくらしいのです。いまあらためて確認すると、この位置からすでに右の岩棚に横向きに張られたクサリも見えていたんですね...。



撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばい(富山県)
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...なのに、そのまま直登していってしまいました。

実は、しばらく間違って登ってきてしまっていることにさえ気づかず「なんか急に難易度が増したような気がするなぁ...」なんて暢気に思っていたのですが、ふと下を覗き込んでみると足元右の方のちょっとザラザラした緩い斜面のある辺りの方がなんだか正しいルートのように思えてきました(本当はその斜面のさらに上にある岩棚に上がるというのが正解だったようですが、上からだとすぐ右下の出っ張った岩が邪魔して見えませんでした)。
明らかにルートファインディングを誤ったんだと気づいたとき、正直なところ「こりゃ、まいったなぁ」と思いました。でも、諦めがよい性格が幸いしてなのか不思議とパニックには陥らなかったです。

それにしても、一度岩壁を這い上がってきてしまうと思うようにあと戻りできなくなってしまうというのは本当なんですね。足元がよく見えないのでいま掴んでいるホールドを返しながら下っていくというのは逆に怖くてできそうにありませんでした。スタンスを保持できず足を滑らせてそのまま50メートル下まで滑落なんてことになったら間違いなくあの世逝きでしょうし...。
ということで、無理にでも上へ登っていこうと決めました。最初は左側のルンゼ(岩の切れ目)の方へと這い上がっていきました。岩の隙間なら容易に足を掛けられて滑り落ちる心配もなさそうな気がしたのです。しかしながら実際にはゴツイ登山靴の爪先が思うように岩の裂け目に入っていかず、こちらを登っていくのは無理そうでした。
それならばと、一旦は先ほどのルンゼの始まりが目線の高さに見えるところまで50センチほど戻ってから、今度は右の一見ツルンとした岩の方へと進んでいくことにしました。最初こちらは岩がツルンとしているのと上方に別の黒っぽい岩が被さるように迫り出しているのが見えていたのとで、正直こちらを登っていこうなどとは思わなかったのですが、実際には上のホールドをしっかり確保できるとあとは足を掛けながら比較的容易に攀じ登っていくことができたのでした。



撮影日:2011/08/22
撮影地:剱岳 カニのたてばいの裏側(富山県)
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とはいえ、もう必死こいて登っていきました。
そうして、下から見たときに上に覆い被さったように迫り出した黒っぽい岩の上までなんとか這い上がっていったのです。正直「あぁ、助かった~」って気持ちでしたね。
上から「カニのたてばい」とは反対側を覗き込むと、10メートルほど下にはザラザラした斜面を登り易いようにと下から上へ張られた長いクサリが見えました。

それにしても、まさか「カニのたてばい」でなんちゃってバリエーションルートをやる羽目に遭うとは思いませんでした。今回の剱岳登山最大の反省点です(汗)



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コメント


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Newman様
こんばんは、大変なルートを登られたようですね。単独で歩かれ、かなり危険な状況で間違いに気付いた時の恐怖感は良く分かるような気がします。

Newmanさんならではの行動力だと思います、今後も十分事前の確認を怠ることのないように御願いします。


ころぼっくる | URL | 2011年08月28日(Sun)21:26 [EDIT]


今晩は。
今年の夏は天候不順で、全般的に快適な山行が出来にくかったようですね。
カニのたてばいで、ルートをはずれて少し難儀したようですね。結果的に無事登れて良かったですね。岩場だから慎重を要しますよね。このルートは1度下山ルートとして降りたことがありますが、余り記憶がありません。登攀ルートは源治郎尾根から剣岳山頂というルートで登りました。途中30㍍の懸垂下降があります。

山渓蘭風 | URL | 2011年08月28日(Sun)21:30 [EDIT]


ころぼっくるさん、おはようございます。

コメントありがとうございます。

注意散漫といった感じで、ホントお恥ずかしい限りです(汗)
カニのたてばい自体は、注意を怠らずルートを外れなければそれほど怖いところではないようにも思えます。
実際に、より事故が多いのもたてばいより手前の前剱の門や平蔵の頭あたりのようですし。
よくよく気をつけねばと思いつつ、実は帰りにも道を誤って早月尾根の方へかなり下まで下っていってしまいました。
おかげで(早月尾根側の)カニのハサミや獅子頭のクサリ場も往復する羽目に。
奇しくも、昨日(28日)カニのハサミ付近で1件の死亡事故と2人が重軽傷を負ったとのニュースがありました。
本当に笑い事では済まされないですね。

Newman | URL | 2011年08月29日(Mon)06:29 [EDIT]


山渓蘭風さん、おはようございます。

コメントありがとうございます。

今夏のお盆過ぎは天候不順で困ったものですね。
雨とガスで見通しも利かず、せっかくの山行も正直楽しさ半減といった感じでした。

「岩場では慎重を要する」ということ、今回身をもってそれを感じました。
一時の不注意が取り返しのつかない誤りへと発展してしまうこともあるのですよね。
当たり前のことではありますが、今回のことで身に沁みた思いです。

バリエーションで劔に登られる方、結構いらっしゃいますね。
知人の女性の方も、劔は一般道ではなくバリエーションからしか登ったことがないと仰っていました。
私は本格的なバリエーションルートはやったことがないのですが、十分な装備と豊富な経験、そして有能なリーダーのもとパーティーを組んでというのが必要なのでしょう。
山岳会に所属するか、あるいはガイドをお願いするかしないとならないでしょうね...。

Newman | URL | 2011年08月29日(Mon)06:49 [EDIT]