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富士登山 お鉢巡り

撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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富士山頂の巨大な火口、大内院のことを通常は「お鉢」と呼びならわしていますが、これには元々仏教的な由来があります。
富士山の頂上には直径600メートル、深さ220メートルにも及ぶ噴火口(大内院)がポッカリと口を開けていますが、これを取り囲むように八つとも九つともいわれる外輪山があって八峰などと称されました。仏教信仰が盛んであった江戸時代以前の富士山信仰においてはこれらを極楽の蓮の八枚の花弁に譬えてそれぞれに仏の名を冠したのです。釈迦、薬師、大日、阿弥陀、勢至、文殊...といった具合に。そして、これらを順に巡ってお参りすることを「八葉巡り」、あるいは「お八巡り」と言ったのを、大内院の形が擂り鉢に似ていることに掛けて次第に「お鉢巡り」と書き表わされるようになったのだとか。

昔ほど宗教的意義が強くはなくなった現在でも富士山の大内院を一周するお鉢巡りは盛んで、多くの人々がこの富士山頂一周を思い思いに楽しんでいるようです。
ちなみに、古来お鉢巡りは時計回りに巡るものとされてきました。これは宗教的な意味合いからとも、最高峰剣ヶ峰からの下りに馬ノ背の急斜面を通ることを避けるよう配慮したためなどともいわれますが、現在では特にそういった決まりごとは設けられていません。実際に私もどちら周りでお鉢巡りしたこともあります。

上に掲げた写真は須走口山頂の久須志神社前へ出るときに潜る須走ルート(吉田ルート)最後の鳥居です。「つづきを表示」で須走口山頂の久須志神社前から時計回りにお鉢巡りをご案内しましょう。



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撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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須走口山頂(吉田・須走ルート共通の山頂)に鎮座する久須志神社は浅間大社の末社で大己貴命(オオナムチノミコト/別名 大国主命 オオクニヌシノミコト)と少彦名命(スクナビコナノミコト)という二柱の国造りの神を祀っています。
ここから左に向かって建ち並ぶ山小屋の前を進んでいきます。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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須走口山頂の小屋を通り過ぎた辺りから大内院越しに最高峰の剣ヶ峰を望めます。バスツアーなどではこのままお鉢巡りはせずに吉田・須走ルートの下山道へ下りてしまうことも多いので、この場所でお鉢をバックに記念撮影されている方をよく見かけます。



撮影日:2019/08/18
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先ほどの展望地のすぐ先には、現在では成就岳と呼ばれる外輪山が聳えます。古くは大日岳と呼ばれ大日如来になぞらえられたところです。もともと大内院に賽銭を投じる初穂打場としての役割があった場所でした。
この成就岳を途中まで登ってから山頂手前で左の道へと進むとお鉢巡りのルートへ入ります。



撮影日:2019/08/18
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成就岳を巻くように進んでいくと、山頂部に大きな岩が乗っかったような伊豆岳が見えます。江戸時代には阿弥陀如来の役割を当てられていました。これも左側を巻いて進んでいきます。



撮影日:2019/08/18
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伊豆岳の横を通る辺りから左手の眼下に宝永山と宝永第一火口がよく見えます。富士山の歴史上最後の噴火(宝永4年/1707年)の際にできた巨大な横穴とでもいうべき噴火口跡です。



撮影日:2019/08/18
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伊豆岳の先に、今度は朝日岳が見えてきます。実は以前はこちらが成就岳と呼ばれており古くは勢至菩薩が割り当てられていました。なぜか10年ほど前から朝日岳と成就岳の名前が逆転してしまったようです。(※)
朝日岳の先は東安河原(ひがしやさのかわら)と呼ばれる広くなだらかな場所があって、確かに御来光(=朝日)を見るのに打ってつけです。

※付記
本ブログの過去記事をあらためて見返してみたところ、2018年7月20日と2019年8月16日には現在の成就岳で御来光を見ていました。そして当時はこの外輪山の事を一般的には「大日岳」と呼んでいたことが確認できます。「朝日岳」という名はどちらかというとこの由緒正しい「大日岳の別名」といった感じの扱いでした。
・大日岳からの御来光(2008/07/20)
・御来光...そして赤く染まる勾玉(2009/08/16)
確かに、「江戸時代以前からの旧山名/明治の神仏分離でついた山名」とした場合、「大日岳/朝日岳」、「勢至ヶ岳/成就岳」、「薬師ヶ岳/久須志岳」の方が、「大日岳/成就岳」、「勢至ヶ岳/朝日岳」、「薬師ヶ岳/久須志岳」よりも語感的にしっくりくる感じがしますね。



撮影日:2019/08/18
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東安河原の先を一気に下ります。下りきったところが御殿場口山頂で、その先の駒ヶ岳と浅間岳の奥に建物が見えているところが富士宮口山頂です。
富士宮口山頂の奥に聳えるは三島岳と最高峰の剣ヶ峰。三島岳は古くは文殊ヶ岳と呼ばれ文殊菩薩になぞらえられていました。



撮影日:2019/08/18
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御殿場口山頂です。別名銚子口とも呼ばれていますが、富士山から見て御殿場の先は小田原辺りのはずなのでなぜ銚子となるのかは不明です。御殿場ルートは以前は利用者の少ない静かな登山道でしたが、プリンスルート(富士宮口六合目から宝永第一火口経由で御殿場ルート上部を通るルート)が知られるようになってからは利用者も増えました。
御殿場口山頂の建物は銀明館という山小屋(富士宮口山頂の頂上富士館の別館)でしたがもう長いこと休館しています。富士宮口山頂の郵便局が改築中だった2013~2016年は郵便局がここに開設されていました。



撮影日:2019/08/18
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御殿場口山頂の銀明水です。鳥居や囲いなどが昨年リニューアルされて綺麗になりました。
富士山頂に湧き出る雪解け水の泉「銀明水」。夏場は大変水の乏しい富士山にあって「貴重な湧き水が出るところ」としてこの銀明水は昔から御霊水として重宝されてきました。明治から昭和の初期にかけては登山者にその水が無料で振舞われていたそうでその様子を写した昭和初期の写真を私は見たことがありますが、いまはお隣りの富士宮口山頂の浅間大社奥宮で小ボトル入りのものを買い求めることとなっています(価格は500円)。飲み水というよりはむしろ水を使う芸事(書道、茶道など)に使用されることが多いようですね。



撮影日:2019/08/18
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御殿場口山頂からのお鉢です。富士山第二の外輪山・白山岳が正面に望まれます。



撮影日:2019/08/18
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御殿場口山頂と書かれた立派な石の指導標が根元からぽっきりと折れて倒れていました。この指導標を背に記念撮影していた人をよく見かけた事を以前本ブログにも書いていたのですが...。
右手の駒ヶ岳と浅間岳との間を通って先へ進んでいきます。駒ヶ岳は富士山の外輪山にしては珍しく最高峰剣ヶ峰とともに当初から宗教とは関係のない名がつけられた富士山頂の峰のひとつです。はるか昔の飛鳥時代に甲斐の黒駒に乗った聖徳太子が富士山を駆け上っていったという伝説があり、山頂に着いた太子がひと休みした場所というのがほかならぬこの駒ヶ岳なのだとか。



撮影日:2019/08/18
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富士宮口山頂です。関西方面からのバスツアーの登山者などは富士宮ルートを利用することが多く、ここには頂上富士館という山小屋、浅間大社奥宮、富士山頂郵便局などがあって、御来光後しばらくの間は人も多くてとても賑わっています。



撮影日:2019/08/18
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浅間大社奥宮です。木花開耶姫(コノハナサクヤビメ)、別称 浅間大神が御祭神として祀られており、夏季の登山シーズンのみ神職の方が常駐しています。
左の棟は富士山頂郵便局でやはり夏の開業期間のみ開設されています。今年はこの8月18日が最終営業日でした。



撮影日:2019/08/18
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富士宮口山頂の先の頂上富士館裏手に出ると、いよいよ最高峰剣ヶ峰まであと20分ほどとなります。2日前の大雨の為なのか、昨年と同様に今回も鰶池(このしろいけ)が姿を現していました。
※「このしろ」は「魚偏に祭」



撮影日:2019/08/18
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お鉢(大内院)と最高峰剣ヶ峰です。



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お鉢越しに富士宮山頂とは反対側を望みます。写真の右側は富士山頂第二位の外輪山・白山岳で、剣ヶ峰と同様二等三角点が設置されています。



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いよいよ剣ヶ峰への最後の急登となる馬ノ背が迫ります。傾斜角30度前後と坂が急なのもさることながら、砂礫に足をとられやすくとても登りづらいお鉢巡りの難所とされるところです。



撮影日:2019/08/18
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「日本最高峰富士山剣ヶ峰」の碑。いつもこの前で登頂記念写真を撮るためにとても長い列ができます。
その右に設置されているのが剣ヶ峰の二等三角点です(3,775.6メートル)。



撮影日:2019/08/18
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剣ヶ峰から覗き込んだお鉢。反対側には成就岳と伊豆岳が見えます。
手前の賽銭が置かれた岩が剣ヶ峰でもっとも高い場所となり、正真正銘富士山の最高地点ということになります。



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富士山最高地点の岩越しに富士宮口山頂方面を望みます。剣ヶ峰からの景色では高度感を最もよく感じさせてくれる眺めかもしれません。
三島岳の前辺りから左へ突き出した岩棚は虎岩と呼ばれ「蹲る虎のごとし」と言われる富士山頂の名所のひとつです。



撮影日:2019/08/18
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剣ヶ峰を下ります。馬ノ背の反対側はスロープ状の緩やかな坂となっています。ここを下りた先がちょっと広く平らな場所となっていて西安河原(にしやさのかわら)と呼ばれています。



撮影日:2019/08/18
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剣ヶ峰を下りきった辺りから富士山の外側に目を遣ると、大沢崩れの様子を上から見下ろせる形となります。絶え間ない落石が刻んだ谷のその荒々しい姿がよくわかります。



撮影日:2019/08/18
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山頂のもうひとつの噴火口・小内院の手前でお鉢巡りのルートは外輪を逸れて右へ下ります。



撮影日:2019/08/18
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眼下に万年雪が見えます。ここからは須走口山頂の山小屋などに貴重な水が引かれているようです。



撮影日:2019/08/18
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富士山頂第二の外輪山である白山岳(3,757メートル)。白山岳の左側の切れ落ちたような断崖が釈迦の割石です。白山岳は江戸時代以前には釈迦ヶ岳と呼ばれ釈迦如来が割り当てられていたことからの名称です。



撮影日:2019/08/18
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こちらは小内院です。白山岳の麓にあり富士山のふたつの噴火口のうちの小さな方となります。とはいえ直径は100メートル以上あるのですが...。



撮影日:2019/08/18
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後ろを振り返って見上げると、雷岩(いかずちいわ)が見えます。こちらの方角から雷雲がやってくることが多いというのがその名の由来で、これもやはり虎岩や釈迦の割石などと同様に江戸時代以降の富士講において富士山頂名所のひとつとされてきました。



撮影日:2019/08/18
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富士山頂に湧く不老長寿の霊水として尊崇される金明水。
金明水は雪解け水が頂上のわずかな落差により溶岩の間から自然に滲みだしたもので、銚子口(御殿場口山頂)の銀明水とともに江戸時代にはすでにその存在が確認されています。現在は金明水は須走口・吉田口山頂の久須志神社にて小ボトル入りで販売されているものを買い求めることができるようです(価格は500円)。これらは現在では、茶道や書道など水を使う芸事が上達するようにとの願いを込めて求められることが多いようです。



撮影日:2019/08/18
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実は、金明水へは手前の分岐から一旦下らないと行けない為わざわざここへ立ち寄る人は稀なようです。今回も私以外に誰もいなかったので、この場所でしばし小休憩をとらせていただきました。
金明水から一気に登り返して上のルートへと合流します。



撮影日:2019/08/18
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合流地点の辺りは白山岳への登り口にもなっています。しかしながらもう随分前からトラロープが張られていて何気に「立ち入り禁止感」を醸し出しています(笑)
2013年7月の白山岳山頂の記事のリンクを参考までに掲げておきます。
※富士登山 2013



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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合流地点からじきに久須志岳に到着します。「久須志」(=薬師)という名前からも推測可能なように、この外輪山は明治初めの廃仏毀釈の頃に久須志岳と改称されるまでは薬師ヶ岳と薬師如来の名が冠せられていました。
ルートは久須志岳の山頂を巻くように外側につけられているのですが、須走口山頂からも目と鼻の先なのでここへは是非訪れてみることをオススメします。
ちなみに、今年は山頂付近にこんな立派な鳥居が建てられていました。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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久須志岳山頂でオススメしたいのはこの眺め。
ここからお鉢(大内院)ごしに見える最高峰剣ヶ峰の姿はなかなかに秀麗です。須走口・吉田口下山道基点のある大日岳下辺りから剣ヶ峰を正面に見据える眺めと較べても、ちょっと斜めから眺めるような感じとなるのでお鉢をも含め剣ヶ峰がひと目で見渡せること、平板にならず立体的に見えることもあって、個人的には好きな剣ヶ峰眺望スポットです。三島岳の手前には大内院に張り出した虎岩もよく見えますね。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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久須志岳山頂付近に設置された方角指示板。この日は雲が多くて残念ながらここに書かれたような山々は見えませんでした。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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須走口山頂へと戻ってきました。建ち並ぶ山小屋の前を通り過ぎます。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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小屋が途切れた辺りで、また成就岳の前へとやってきました。正面の「左 須走口下山道」の指導標を今度は左に進みます。



撮影日:2019/08/18
撮影地:富士山頂(山梨県、静岡県)
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須走ルートの下山道へ。これにてお鉢巡りは終了となります。



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